少年は各駅停車を待って

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なんかこの閣下、化けそう…。

発端は バスで行きたいか 電車に乗りたいか ということだったらしい。
レッスンにいきなり弟のM君だけが登場。
「あれ?ひとり?」
「んーん、おかあさんとS(妹)は一緒、いまくるよ」
「お兄ちゃん(なりちゃん)は?」
M君、眉間にシワ寄せ険しい顔で口をとんがらせて曰く、
「なりは電車っ!」
「え?(意味がわからない)」
「乗り換えがしたいらしいよ。バスなら簡単なのにねえ。」
お母様と妹Sちゃん登場、お母様の「なりはあとからひとりで電車乗って来ます」の言葉で状況を把握できた。

なりちゃんの家から、レッスンをしているスタジオまでは バスなら1本、電車だと乗り換え1回 しかも乗り換え駅は結構複雑にできているうえに、かなりな混雑している。先週から、妹君Sちゃんもレッスンデビューしているので、小さなお子と、ギャングエイジの弟M君、万年ギャングエイジになりそうななりちゃん3人を連れて、電車の移動は、お母様としては避けたい。
ところが、なり少年は、まだお母様とふたりでレッスンに来ていた頃から、今日は電車がいい、今日はバスがいい、時折気のむくままに交通機関を選びたがったりしいたもので(近年は「乗り換えが面倒、歩くのやだ」と老人のようなことを言ってずっとバス一辺倒だったのに)今日は急に電車に乗りたくなったらしい。電車で行くと主張してみたが、多数決で負け、「だったらひとりでも電車で行く!」となって、3年生にもなったことだし、それではそうしてごらんなさい、とお母様も決心して、単独行を許可したということのようだった。

その日私はレッスンに向かう道すがら、今のヨノナカ、子供を狙う物騒な輩がこう多くなっては、心配で学校へ登下校ですら、危なくって仕方がないし、親御さんたちって、子供が単独で外出するのを解禁するの、さぞ勇気が要るだろうなぁ、いつかなりちゃんも ひとりで来たりするようになるんだろうなぁ、なんぞと漠然と考えていたところだったので、ちょっとびっくり。
いつか、ではなく 今日でしたか。

それでは、MちゃんとSちゃんのレッスンを先に致しましょう、そのうちなりちゃんも到着するでしょう、なんて言いつつ、レッスンに入るけど、なーんとなくお母様も私も、MちゃんもSちゃんも 落ち着かない。
お母様の予測では、10分程度の遅刻だろうということだった(携帯で調べて)ので、まぁ、少年の歩みなら、おおきくとって20分ぐらいかなーなんて思っていたのだけれど。
「…なりちゃん、こないねぇ?」
とちいさなSちゃんが言った。もう40分経過していた。
むーん。乗り換えを間違えたか?
SちゃんとMちゃんは、私がスタジオで一緒にいますから、駅に行ってみては… そうですね、じゃ、すみません とお母様がスタジオを出て駅へ走る。 残ったお子ふたりと3人で遊び始めて5分後、青ざめた顔で少年がスタジオに飛び込んできた。
「あー、やっと着いたねぇ… …あらっ? お母さんは?」
「えっ? 知らないよ」
「あら、遭わなかったの?」
「なんで?」
「なりちゃん探しに駅に行ったのよ 遅いから。 ああ、じゃぁ準備して待っててね」
急いでお母様に電話をし、少年到着を告げる。
振り返ると、さっきまで蒼かった少年の顔が、こんどは真っ赤になっている。
「ずいぶん遅かったのねぇ 迷ったの?」
「違うよ!電車が全然来なかったんだ だからずっと待ってたんだ!」
「え? 事故でもあったの?」
「そうじゃないよ! 電車はくるけど、行き先が違うからー!」
ん? ここの駅は、どこ行きに乗ってもこれるんだけど?特急と準特急以外は。
「なりちゃん、ナニ行きに乗ってきたの?」
「えぇ? 各駅の○○いきー」
「そっかぁ。」
謎氷解。
「なりちゃん、今度はね、各駅だったら、ナニ行きでも大丈夫だよ ここの駅止まるから」
「えー? だってお母さんが○○行きってぇー 各駅じゃなきゃダメだって言うからー」
「そっか、それでそれ来るまでずっと待ってたんだね。そーか、大変だったねぇ」
お母様も慌てて戻ってきて、真相を知って腰砕けになっとりました。
お母様は、○○行きを指定したというわけでもなかったようなのですが、他の行き先は、まだ読めない漢字多用な駅名のため、確実に読めるで行き先を例に挙げて話したのだけれど、少年は○○行きじゃなきゃダメなんだと思い込み、ひたすらそれだけを待ってみたところ、それの各駅の本数があまりにも少なかったというわけ。
オトナふたりにかわるがわる事情聴収されつつ、えらかったね、たいへんだったね、と言われて少年の口元がへの字に。
「大変だったけどさ、1人で電車のったりしたの、初めてだったんでしょう?楽しかった?」
「あんまりたのしくなかった。途中までは楽しかったけどー、電車来なくて仕方がないから、ベンチに座ってずっと待っててー、そんときー、がまんしてたけどちょっと泣いた」
いうなりぽろぽろと涙が。
心細かったね。

レッスン後、お母様よりメール。
…また単独行動をしたいそうです。025.gif

わはは まぁ、そうでなくてはなりちゃんではないけどね。
by kyoko_fiddler | 2009-04-12 00:30 | ぶつくさ | Trackback | Comments(8)
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Commented by ボビー西 at 2009-04-12 06:44 x
当方も読んでいて、思わず「いい話だなー」と涙がこぼれそうになりました。 こうやって、少年は成長していくんですね。 「少年老い易く、学及びバイオリン演奏成り難し」 ガンバレー。
Commented by take525plus1 at 2009-04-12 09:28
わたしが初めてひとりで電車に乗ったはいくつのときだったろう。
祖母のうちに行くときだったのだけれど、それまで母親といっしょに月に1〜2度は乗ってたし、3系統ある行き先さえ間違えなければ乗り換えなしで30分かからないくらいの距離だったから、それほど不安はなかったような。。。
その路面電車もほとんどの区間が廃止されてしまいました。
Commented by yanagi-deme at 2009-04-12 18:01
なんだか、ウルっときちゃいましたー。
私も初めての公共交通機関乗り換え、心細かった気がします^^;
また単独行動をしたいとの事、なりちゃん自信がついたかな~?
Commented by kyoko_fiddler at 2009-04-12 22:05
ボビーさま
このごろ、いつまでも「なりちゃん」と呼んでいてはいけないなぁと、考え中です。
スタジオに入るなり「全然練習してない!」って宣言するのだけは、数年来変わらないので、そこらへんちょっと成長してほしくもあるんですけどね
(^^;
Commented by kyoko_fiddler at 2009-04-12 22:14
takeさま
わたしも、自分のときはどうだったのかと思い出そうとしましたが、イマイチ記憶が… おそらく 少年と同じにバイオリンのお稽古へ行ったのが最初だったと思うのですが。
子供の頃にはそのルートを間違えずに通っていたのに、オトナになってからは、よく乗ってはいけない特別快速にぼーっと乗ってしまい、行きたくないところまで連れ去られてしまっては、大慌てで教室までの坂道を駆け上がってた記憶が。
Commented by kyoko_fiddler at 2009-04-12 22:27
yanagi-demeさま
なりちゃんはどうも味をしめたようなので、これから勝手にどこでも行っちゃいそうでちょっと心配です。子供への犯罪が多いですからね…。
yanagi-demeさんも、もうあと数年したら、今度は送り出して無事帰ってこられるかドキドキ待つ、という日が来るんですねー♪

最近つくづく親御さんって凄いなと思うことが増えました。ちっちゃいころは、自分の目の届く範囲で見守ることができても、成長するにつれ、子供の行動範囲はどんどん拡大していくわけで、そうでなくては困るんだけど、日々親御さんはその成長にある種覚悟を持って子供を送り出さなければならないんだなぁって。
子供の頃、ストーカー化して我が子をこっそりつけまわしたりするお母さんがいる子がいて、その子もその子の友達も困ってましたが、今ならそのお母さんの気持ちがわからなくないですね。(でも子供が気の毒ではありますけど)
Commented by yanagi-deme at 2009-04-13 15:10
なりちゃん・・ちょっと危ないけれど、一人立ちの入口ですねぇ^^

我が子の手を離さなくてはならない時がいつか来るんですよねぇ・・。ほんと、しっかりとした勇気と覚悟がいるんだなぁと、最近漠然と思っています^^;
ストーカー化するお母さんの気持ちわかります!・・でもそうならないように自制せねば・・(汗)
Commented by kyoko_fiddler at 2009-04-13 15:50
yanagi-demeさま
ねー、いつかその日が来るんですね、きっと(^^)
なりちゃん、実は当初弟M君を連れて電車に乗ろうとしたらしいんですよ。
M君はすげなく「ヤダ」と言ってお母様と同行したようなんですが、
あれで、ふたりで電車来なくてぽつねんと待ってたら、ふたりでびーびー泣いて、駅員さんに保護されてたかもです~。
あ、でもお兄ちゃんとしては沽券にかかわるから、がんばっちゃうのかなぁ。
面白かったのは、なりちゃん無事到着で、お母様と私とが、安堵と好奇心で、なりちゃんを質問攻めにしていたあいだ、弟妹のふたりのお兄ちゃんへの態度が非常に冷ややかだったことですね。
おちびふたりの胸に去来したものはなんだったんだろう…。


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