野辺送り

亡父のすぐ下の弟、つまり私の叔父が鬼籍に入ってしまった。
父の死後、8年経っての他界だから、享年は父よりも年上になる。
父の兄弟姉妹は7人いて、幼くして他界したという伯父は別として、6人、全員誰ひとりとして戦争で欠けることもなく年齢を重ねていたが、一人去り、二人去り、叔父で四人目、遺された伯父伯母の落胆ぶりは痛々しかった。

とはいえ、さすが父の兄弟一族、叔父が亡くなってから「あれ?ウチの宗派ってなんだっけ???」となり、「おじちゃまの時って何宗だったっけ?」と問い合わせが来たのには笑ってしまった。

「かいみょーなんて、いらねぇ」
亡父はことある毎にそう放言していたので、亡父に戒名はない。位牌にも、墓石にも、いわゆる「俗名」が刻まれている。
叔父の白木の位牌には、立派な戒名が書き込まれてあった。
それを見たとたん、脳裏にぱっと、彼岸で出迎えた亡父に、叔父がまず戒名の自慢をし、亡父が「け、」と鼻で笑い、という図というのが浮かんでしまい、読経の最中もついにやにやしてしまった。
叔父と父とはそういう間柄だったので、想像に難くないのだ。
叔父と亡父は、なんだかんだいって、一番年齢も近かったし、諸般の事情でそれぞれにややこしい幼少時代を送った父たち兄弟の中で、比較的ややこしくなく育っていたふたりは、対称的な性分でもあったようで、いつも寄ると触るとお互いをけなしてじゃれている感があった。叔父の訃報は盆の入り日だったので、ちらっと、「・・・ひっぱったんじゃあるまいな」と亡父を疑ったぐらいだ。

なんだかんだ言って、一番兄弟だったわよね、と遺族となった従姉も言っていたけれど、
亡父が息を引き取った時、いの一番に駆け付けて、無言で父を見つめていたのも叔父、
亡父が荼毘に付されている最中、待合室で「兄貴、今頃ミディアムかな~」などと言って、ふざけて我々「遺族」を笑わそうとしてくれたのも叔父。

「兄貴、ミディアムかな~とか言っていたおじちゃまが、今ミディアムだねぇ」
と、我が妹。これこれ。

まぁ、あちら側が、にぎやかになったことだけは 確かな気がする。
by kyoko_fiddler | 2011-07-18 23:25 | ぶつくさ | Trackback | Comments(6)
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Commented by dojou7 at 2011-07-19 07:17 x
ご愁傷様です。
私の母の兄弟姉妹も7人で、ここ数年一人づついなくなってます。
そういう年齢になったということですね〜。

叔父様とお母様とのエピソードはないのでしょうか? (ってなにを期待しているのだ^^:)
Commented by ボビー西 at 2011-07-19 12:31 x
河崎家がすごく良いご家族であることが改めて分かるエピソードですね。
Commented by complex_cat at 2011-07-19 19:17
kyokoさんの血族らしいお話と伺いました。うちの祖母は大往生だったので,火葬場で我が一族周辺一角がものすごく明るかったのを覚えています。小さなお子さんの交通事故死みたいなのと隣同士だったりすると,そのコントラストが大変だと,火葬場の人が話していました。
Commented by kyoko_fiddler at 2011-07-19 22:01
dojou7さま

エピソード・・・ですか・・・
いや、思いだせばありそうですけれど・・・(^^;
Commented by kyoko_fiddler at 2011-07-19 22:04
ボビーさま

すごく良いかどうかはわからないのですが、父のきょうだいたちは、皆どこか脳天気にできているように思います。それぞれに結構激しい人生だったようなんですけれども・・・。
大正生まれには、かないません。
Commented by kyoko_fiddler at 2011-07-19 22:10
C_Cさま

今回印象的だったのは、遺った伯父伯母はともかく、甥姪、つまり私のいとこたちはある種の諦観とむしろ祝うぐらいな気持ちで叔父を送っているのに対し、叔父の孫達がとてもとても「おじいちゃま」との別れを悲しんで淋しがっていたことでした。もう子供もいるような(つまり叔父にはひ孫がいたんですよー)イイトシしたオトーサン孫が、別れを切ながって、しゃくりあげながら、叔父に頬を寄せて、最後までなにをか語りかけていました。


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