原点の音楽2

バイオリンのおけいこに通うようになってからは、バイオリンのおけいこの曲と、幼稚園や学校で教わる曲しか知っている音楽はなくなった。多少はテレビからいろんな音楽が流れてきたけれど、歌番組を観ていると怒られたし、そもそもテレビを観ると怒られたので親がスイッチをつけた時しかテレビを観ることはなかったから、紅白歌合戦なんて番組の存在すらも知らなかった。こう書くと、どんなお嬢サマ育ちをしたのかと思われそうだけれど、単に母親の趣味でそういう環境にあっただけで、お嬢サマとは程遠く、学校のテレビの話題に殆どついていけない肩身の狭い小学生だった。(その割には態度はデカかったかも。)当時、親戚の結婚式なんかの度にバイオリンを弾かされるのがイヤで堪らなかったことだけは強烈に覚えている。先生のところに行って、レッスンを受けるのは嫌いではなかったけれど、毎日強制された「おけいこ」は嫌いだった。弾いている曲が、誰の作曲でなんという曲名かということもとんと興味がなかったので、長じてから(つまり今ですね)非常にこの性癖には苦労している。とにかく、ただ弾いていた。
さすがに中学に入るころには、「クラシックじゃないの」の音楽も聴いてみたいと思うようになり、こっそりテープなんかを借りるようになる。レコードからライン録音でテープに落とすなんてことを覚えたのもこの頃で(遅すぎ!)楽曲のレパートリーは倍増した。「クラシックじゃないの」をやってみたい、という欲求も感じた。意識して「やってみたい」と思ったのは記憶のあるかぎりではそれが初めてだったと思うけど、でもわたしのとった手段はヴァイオリンで弾いてみる、じゃなくて、ドラムを叩く だった。ヴァイオリンの音色は、そういうのに合わない、と思っていたから、「バンドの楽器」をやろうと思ったけれど、キーボードなんて弾けるまでにどれだけかかるか判らない、ギターは物理的にFコードで挫折、ベースも物理的に手の大きさが間に合わない、じゃぁスティック持つしかない。という単なる消去法ですね。女子校だったし、バンドやってみたいといったって、他の楽器ができる人もいなかったから、音楽室にあるドラムをどてどて叩いているだけでした。音楽部はあって、音楽部の部員ではあったけど音楽部はオーケストラをやっていて、いわゆる「軽音楽部」も「ブラスバンド部」もなかった。
あるとき、顧問の先生が何を思ったか演奏会に「クラシックじゃないの」を盛り込み始めた。アニメの主題歌やら、ビートルズやらをベートーベンのシンフォニーやビバルディなんかといっしょくたにして演奏していても、原曲を知らないので特にどうという感慨もなかったのだけれど、ちょっと大き目の演奏会をやることになった時に、オフコースの曲を演奏することになった。多分それだけならどうということはなかったのだけれど、ゲストに招んだテナー歌手(確か二期会の若手の方だったような記憶が…)の方とユニゾンで、歌のメロディーをソロ演奏することになったので、これは真面目に弾かなければいけない、と思い慌てて周囲に頼んで原曲を聴かせてもらい、歌に忠実にコピーした。これには実は理由があって、わたしは楽譜が苦手で、それまでも全て耳コピーで(周囲の人が演奏する音を聴いて覚えた)演奏してきていたのだけれど、ソロとなると誰もわたしのパートを演奏してくれないから、原曲に頼るしかなかったのだ。
「あわせ」練習の日がきて、歌手の方とソロのパートを弾き始めた。
歌手の方は譜面に忠実に歌い、わたしはオリジナルの歌の真似をして弾いた。どういう結果になったか、想像に難くないと思うが、当然素晴らしく合わなかった。歌手の方は「楽譜と違うじゃないか」と私を非難したが、わたしはわたしで「でも、原曲はこう歌っていた」と一般高校生の分際で、タテついたのだった。結果どう折り合いをつけて演奏したのか忘れてしまったけれど(まぁおそらく彼に合わせたでしょう)その時に演奏の到達点って、なに?って激しく疑問に思ったことを覚えている。そのとき、オフコースそのものはまったく好きになれなかったけれど、それでも「正しい」歌唱よりも、オリジナルの歌のほうがいいと思ったからだ。今にして思えば、その後のわたしの「表現」に対しての意識は(本格的に「クラシックじゃないの」をヴァイオリンで弾き始めるのはもっとずっと後のことだけれど)ここが出発点だったのだなぁと、去年のクリスマスの夜中放映された小田和正さんのライブ映像を観ていて急に思い出した。
by kyoko_fiddler | 2005-01-18 22:54


猫、ときどき提琴。 ~Fiddler on the Moon~


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