カテゴリ:Reviewなど( 82 )

8/14 深谷正子 SOUP

ステージが明るくなったとき、軽く驚いた。
深谷氏が「こっちを向いて」立っていたからだ。

深谷氏ご自身の出演するもの、いったい何回ぐらい観たろうか。そんなに数多く観ているわけではないのだけれど、観てきたなかで、最初からこっちを向いて、というか、こっちを視て、立っていたことはなかったと記憶している。
今までは、作中でさえたとえ向いていても、見ていても、「視て」はいなかった、
それが、力むことなく、すっと「こちら側」を視て立っていたのでちょっとびっくりした。

ダンサーは、いろんな拘泥を見せながら身体を動かしていく。揺らす、歩く、座る、いざる、積極的にいろんな動作を試し、身体を操ろうとする。やがて天井から下がる糸を見つけ、それを引く。
お釈迦さまが垂らした蜘蛛の糸なら、手繰って涅槃にも辿りつけよう、だけどその糸は手繰っても手繰ってもダンサーを導いて救ってくれそうにはない。横から我も我もと手が伸びてくるわけでもないけれど。
手繰れるだけ手繰ったあと、しばらくしてダンサーはふっと笑って(た、ように見えた)ま、いっか、と糸に執着するのをやめて前へと歩き出す。

今までの数少ない「経験則」が最初から覆され続けた。
観ていると、ダンサーの身体とその動きだけでなく、いろんな、想起されたもの、つまり観ている自分自身の内省からくるいろんな幻影や記憶の断片が「みえて」きて、ダンサーを目で追いながら、脳みそは内省の旅に出かけてしまい、時には「やーん、変なこと思い出しちゃった」的な気分になったりする、というのが、今までの体験だった。感じ取れるのは、「来し方行く末」どちらかといえば、多分に「来し方」に比重が多かったように思う。

けれども今日、(ありゃ、もう昨日ですな だいぶ前から)その比重が全く変わり、「来し方」よりは「行く末」を見つめるベクトルがみえていたし、変わっただけではなく、ダンサーが私たちに、「どう?」と発信をしてきたように感じた。

えええ。
普通なら「円熟」とか「熟成」とかって方向へ行ってもいいころあいですよ。
それが、そんなふうに変化、進化してしまうんですか。


・・・かくありたいです。

美味しいスープでありました。
by kyoko_fiddler | 2010-08-15 02:13 | Reviewなど

8/13 吉本大輔 「IDIOT ・・ 解剖学士 ガラ夫人の裏庭」・朱

8/13 吉本大輔 「IDIOT ・・ 解剖学士 ガラ夫人の裏庭」・朱_b0019333_113971.jpg

井桁裕子さんがいなかったら、私が吉本大輔さんの舞踏を観る機会はなかったか、あってももっとずっと先になっていたかもしれない。

暗闇の中、靴音だけが舞台を回る。ふと靴音が止まる。音で止まったところはわかるのだけれど、そこに気配がない。またさっきよりも高く靴音が響く。そして明りがつく。
舞踏家の姿を観た時、とっさに「ピエタ」という言葉が浮かんだ。
そう、あの、磔になって死んだキリストの亡き骸を抱く聖母マリアの像。

身につけていたものを全て、ゆっくりと、荒々しく、またゆっくりと剥ぎとっていき、舞踏はすすんでいく。

ちりばめられたブラームスのセレナーデよりも舞踏家の身体から放たれる感情は繊細で、喜怒哀楽、それと、憧憬や驚怯、そういった感情をふりまいて、白い身体がのたうち、走り、萎縮し、反りかえる。

なんと。
美しいではないか。

くっそう。
何故と問われてもわからないけれど、なんだかすごく くっそー、と思った。
・・・なんでだろ。
by kyoko_fiddler | 2010-08-15 01:30 | Reviewなど

をとめの姿しばしとどまりて

をとめの姿しばしとどまりて_b0019333_1720592.jpg
 ブレブレですな。すみません、酔いそうな画像で。

近所に、寺町という、寺ばっかりが集まった一角があって、その御寺さんのひとつで、能楽奉納があった。御近所の方々もどうぞご覧くださいというチラシが入っていて、楽器の説明や、能装束の着付けの実演だのをしてくれるというし、なにしろ破格の値段でかぶりつきで観賞できるというので、これはいい、とクララを誘いましたが、生憎彼女は既に予定が入っていて動かせず、なくなく断念。 ひとりのこのこ出かけていった次第。
さすがに、本編の上演の撮影は御遠慮下さいということでしたが、レクチャー部分は撮ってもいいというので、奏楽の方々も撮ったし、そちらはバッチリぶれなく撮れているのですが、お顔丸出しなのを勝手に載せては悪いかなと思って遠慮いたしました。

で、この写真は着付けの仕上がりのところです。このシテの方は女性でした。珍しい。
珍しいけれど、でも母の知り合いでやはり女性の能楽師の方がいて、やっぱりシテで、小学生の頃、梅若堂だとか、国立能楽堂(・・・っていいましたっけ?)に母に連れて行ってもらったことがあります。今日、解説をしてくださった、梅若靖記氏(よくわからないが、いわゆるサラブレッドの方。話術巧みで面白い方でした。)によれば、昭和、戦後になって女性の能楽師の方も少数ながらおいでになるとのことです。

相変わらず謡は言葉がほとんど判らず、わずかに聴きとれたのがタイトルの文言のみでしたが、面をつけるからか、異次元空間を垣間見ているようで、わからないながらに妙に惹かれるものがあります。
各楽器の方々の説明も興味深かったです。特に能管の実態を知って、これは絶対無で応用できるかもしれない、と思いました。(能管を取り入れるっていう意味ではないです)

ちなみに、演目は羽衣でした。

着付けを観ていて思ったけれど、面とは不思議なものですね。
つけたとたんに、なにかが、面が人を依代にしているような、なんとも不思議な感じがしました。
by kyoko_fiddler | 2010-05-22 17:47 | Reviewなど

証明写真。

証明写真。_b0019333_1030290.jpg
Shot by Mr.OHTANI

実はわたくしばいよりん弾きなんですぅ~。
by kyoko_fiddler | 2010-05-20 10:32 | Reviewなど

宴の始末

宴の始末_b0019333_123188.jpg

昨晩は たくさんのお客様にお越しいただきました。
五弦電気的提琴弾き 心より御礼申し上げます。
ありがとうございました。

当日の模様などは 動静両画像、整いましたら 恥ずかしながらお披露目させていただくそうですので、頭領より告知がございましたら、この場にてお知らせさせていただきます。

※ お越し下さった皆さま 宜しければコメントに御感想など 頂けたらと思います。
鍵コメでも結構です。絶対無について、或いは私個人について、いずれもご忌憚のないところを頂戴致したく。


狂狐 拝

More:雑感
by kyoko_fiddler | 2010-05-10 12:31 | Reviewなど

井桁裕子作品展

井桁裕子作品展_b0019333_111896.jpg
漸く行くことができた。
今回、知っている方がふたり、モデルとなって生き写されて展示されていた。
これはそのひとり、鉄の造形作家、大河原良子さん。
鉄とは、血、そのもの。子宮の位置に鉄の心臓が陣取って、熱い血潮を脈動させているのだ
とは 作家本人の説明。
そして、もうひとり。 作曲家、パーカッショニスト 故・金田真一さん。
今回、金田さんは、どなたかにお買い上げとなって、井桁さんの手元から離れていくことになりましたそうな。
金田さんの横たわる台の横で、井桁さんと話をしていたら、金田さんの眼がこちらを見、何か言いたそうに口元がかすかに緩んだ気がした。本当に。
そうか、もう、本当に逢えなくなるんだね。
さよなら、金田さん。

井桁裕子作品展_b0019333_1133018.jpg

井桁裕子作品展_b0019333_1141717.jpg

さよなら さよなら。

More:井桁裕子近影
by kyoko_fiddler | 2010-04-03 01:16 | Reviewなど

...God bless you.



観てきました。
観に行く時間はつくれそうにないと、半ば諦めて、DVDでも買うかなー、と思っていたのですが
奇跡的に時間がつくれました。






本番が 観たかった。
by kyoko_fiddler | 2009-11-25 19:52 | Reviewなど

至福の夜

至福の夜_b0019333_1230079.jpg


こまかいこと、書きません。
でも、わたしは 昨晩 自分がヴァイオリニストである、その幸運を 素直に嬉しいと思いました。

そしてまた、やはり、私はヴァイオリニストなんだな、ミュージシャンなんだな と思いました。
by kyoko_fiddler | 2009-11-07 12:30 | Reviewなど

なまなまし、なまめかし

写真展「和紙へ」 開幕です

写真展に行って来た。
dojou7 こと玉内さんと、yukinyaa こと平尾さんとは、面識もあるのだけど、玉内師匠とは話せても(というより一度行った場所なのに忘れてお迎えにまで来ていただいてしまった)平尾さんとはご挨拶しただけで、なんだか気恥ずかしくて話もできない。
意外に思う方もおいででしょうが、、私は実はシャイなんですのよ。(無意味に威張る)

先日、玉内さんから、和紙にプリントされた女性の顔を拝見して、まるで、触れれば肌の質感から、体温まで触れられそうな と思ったことを覚えている。
それだから、玉内さんの木々の写真も、おそらく、木肌の感触が想像できそうな写真なのだろうなぁ、と思って会場へ向かった。
実は、何故今回玉内さんが木の写真ばかりを展示したのかが不思議でならなかった。なぜ、虫のどアップ写真じゃないのだろうかと。(ムシムシ大行進写真展開催なさったら、 鳥肌たてて観に行きます) 和紙に植物や風景といった写真では、観る人は水墨画を脳裏に比較対象として置いてしまうんじゃないか、だとしたら、それは違うんじゃないか? なんて考えていたからだ。
会場で、実物の写真を観てびっくりした。
至近距離で撮られた木の、圧倒されそうな なまなましさ。幹がうねり、のたくっているように迫って見える。なんだか、触ったらもぞ、とか動きそうなのだ、幹が。
遠くから撮られた並木や、下から見上げて撮られた細い枝のそのさきの梢は、これは本当に写真だろうか?と疑うような質感で、中世の革表紙の本なんかで出てきそうな細密版画、エッチングかなんぞのように見える。勿論同じ木を寄って撮ったり離れて撮ったりしているのではないから、比較すること自体がおかしいのかもしれないけど、まるで写り方というか、刷りあがりかたというかが違うのが不思議だった。
玉内さんの写真って、どこか乾いているイメージがあったのだけれど、今回の写真は、全体にしっとり濡れている。遠景を撮った、とても乾いた土地にある低木や、並木を撮った写真ですら、濡れていると思った。(じめってるとか、ウェットであるとかいう意味ではないです)不思議だ。

平尾さんは、唯一カラー(?)の写真も展示されていたが、「総天然色」という感じがした。個人的には、猫が にゃ? とひとりで青空バックにこっちを見下ろしている写真は、にこにこずーっと見ていたいと思ったけど、平尾さんの今回の出品作で、印象的だったのは「水」だった。水面そのものが写しとられた写真だったり、水面から反射した光がゆらめいている橋げた(多分)だったりといった「水」を写したものがとても素敵だと思った。
多分、モノクロの写真は、前回の写真展でも同じものを(当然別の印画紙ででしょうけど)出品されていたのではなかったかと記憶しているのだけど、断然水の感じが違って、「こっちの方がいいなー、ゆらゆら光が揺れそうだなー」と感じた。

出品者の皆さんは、和紙は色調の階層が狭いとか(・・・違ったかな)なんとか書いていたけど、
そんなこと私にゃわからんです。
階層が狭いからどうだというのかね? だったらなんだというのかね?
なんだかわからないけど、全体的に、今まで見てきた写真より、よりなまめかしく、なまなましく、かつ非現実的に(別にコラージュをしているとか、トリッキーな構図であるとかってことではなしに)非日常的に、観えますよ。

いや、これはですね
実際に観ないと、わからないですよ。
実際に観てみてください。
凄いよ。
by kyoko_fiddler | 2009-09-18 20:41 | Reviewなど

三谷峰生ライブ!

三谷峰生ライブ!_b0019333_05911.jpg
あらら・・・折角花のかんばせが真っ白で、これではわかりませんがな・・・やっぱりカメラ持っていけばよかった。
うにょ子 こと三谷峰生さんのライブに行ってきました。
面識もあるし、(考えてみたら、もう知り合ってからずいぶん経っているよ)一緒に仕事もしたんだけど、彼女の音をちゃんと生で聴いたことがなかったのです。

彼女の音色、好きだなぁ・・・。たおやかな音でした。
こうやっていろんな方の演奏を聴いていると、人となりが音色に出るなぁと思って、フと我が身を振り返り背筋をいやーな汗が流れるのですが。
年内、もう1回ぐらいはライブをやろうと思っていたので(爆)いろんな脱線したことを考えながら聴かせていただきました。愉しい2時間でした。
by kyoko_fiddler | 2009-08-23 00:05 | Reviewなど


猫、ときどき提琴。 ~Fiddler on the Moon~


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